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日々の萌語りとSS
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ローマ法王の法衣の中には、京都西陣織のものがあるそうですね。もの作り日本は素晴らしいですv

ということで、聖域の教皇服や黄金聖闘士の礼装用マントも、西陣織と言う脳内設定。
グラード財団傘下の商社が納品しているんだと思います。


*ご訪問ありがとうございます。せっかくシュラなのに、いつにもまして薄暗くて済みません。
過去作にも拍手ありがとうございました。元気沢山いただきました。



シュラ→ムウはこちら↓
             ↓


***


数日後には正式にカノンの双子座の黄金聖闘士就任が告げられ、役を退いたサガはそのまま去就を詳らかにはせず聖域を去って行った。
 
 
そこには、まずなんといっても女神の意向があった。
今生での聖戦が勝利に終わって和平協定が結ばれた今、最低限の人員を残し、ひとりでも多くの聖闘士に役を離れて、平和な世界でのごく当たり前の人生を歩んでほしいと女神は強く望んでおられた。
 
サガはそのような女神の意向に応えて、率先して自らが範となるべく聖衣返上を希望し、労を称えられて聖域を離れることとなった。もちろん静養と充電の後、本人の希望があれば聖域はまた彼を喜んで迎え入れるという条件で。
――少なくとも、表向きはそういうことだった。
 
 
サガのこの行動は、黄金聖闘士の間に波紋を巻き起こした。それぞれが聖戦後の自分の生き方について思いを巡らせていたからだ。
 
聖闘士としていわば上り詰めた存在である自分達だが、女神自身は、俺たちが二度目の生までをも再び戦いだけに捧げることを決して望んではおられない。
 
では平時には女神の聖闘士はどうあるべきなのか?自分達は何をなすべきなのか、一体何ができるのか――。
それは大っぴらに語られることはないが、皆が心の底に抱えている共通の問いだった。
たとえばカミュなどは、これからも聖域で戦士として生きるよりも、むしろ教育者として後輩の育成にあたることを考えたりしているようだった。
 
俺について言えば、俺自身は自分はこれからも戦士として任に当たっていくだろうと思っていた。軍人として以外の自分は考えられない。否、俺の生き方それ自体が聖闘士そのものであるからだ。
そういう意味では俺は単純にできているのかもしれない。あるいは、とてつもなく不器用なのであろう。
いつも一番まずい時に一番まずいところにいるような不器用な人間。それが俺だ。
 
俺はちらりとムウを見る。
カノンの黄金聖闘士就任儀式の場で、黄金聖衣と礼装用の純白のマントを身につけて、同輩たちと並んで立っているムウはいつも通りに落ち着いてみえる。
サガは自身の引退式を固辞したので、その場では目立たないよう隅の方に控えている。
 
ムウは一度もサガに視線を向けなかったし、それはサガも同様だった。だからその場を見る限りは、やはりあの二人は互いを避け合っている、あるいはムウはサガを嫌っているとしか見えなかった。
 
 
だが、俺は、サガに背を向けて立っているムウの後ろ姿から、あの日と同じ悲しみの気配が、抑えきれずにあふれ出しているのに気付かずにはいられなかった。
 
 
(続)


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