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日々の萌語りとSS
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おいしそうなコーヒーを探していたら、こんなコーヒーをみつけました。

「エスメラルダ スペシャル ゲイシャ」

・・・小麦3袋じゃなくてコーヒー豆3袋でゲイシャに売られたエスメラルダ(または瞬)を思い浮かべざるをえないですよね。

しかもこの「エスメラルダ ゲイシャ」コーヒーは世界最高峰の品質を誇り、このコーヒーのためだけの国際オークションも開かれているようです。オークションにかかるエスメラルダ ゲイシャ…
ちなみに国内売価150gで2980円でした。(@南青山マメーズ)



以下、拍手お返事です。不要の方もありがとうございます。

1月6日Sさま
拙い文章に嬉しいメッセージをどうもありがとうございました。暖かいお言葉、とても励みになりました。中々思ったことを思ったようには書けず、日々精進あるのみなのですが、S様に気に入っていただけてすごく嬉しかったです。拙サイトはあの調子ですが、またよかったらお気軽に感想などお聞かせ下さいませ。



シュラムウ続きを見てみるか、と言う方はこちらへどうぞ~









 
  
***

 
勿論仕組んでのことなどではない。
俺自身も聖域から出かけるつもりで白羊宮のそばまで降りて来ていた。時間はたっぷりあったので、なんとなく白羊宮近くの森の中の崩れ落ちた古の神殿跡に立ち寄ってみた。
 
 
樹々の緑が微かな風に揺れて、高くさしかわす枝の間から木漏れ日が地面に踊る。柔らかな緑の泉の底にいるような静かな時間。
俺は半ば地面に埋もれた神殿の列柱に浅く腰かけて、ぼんやり考えごとをしながら風にあたっていた。
 
 
するとその時、背後から草を踏みしだきながら近づいてくる話し声がした。
自分の思いに深く沈みこんでいた俺は、誰かと話をする気分ではなかったので、とっさに廃墟となった神殿の奥に逃れ、気配を消して闖入者達をやりすごそうとした。
 
しかし声はどんどん近付いてくる。
やがて人の気配は俺が先ほどまで座っていた朽ちた柱のあたりまで来るとそこで立ち止まった。
 
こういう時に、一本道のアテナの聖域は実に不便だ。どこへ抜け出すこともできず、俺は袋小路に閉じ込められ、そこで息を潜めているしかなかった。
 
 
「――それでは太陽が双子宮に入る前に、あなたは正式にカノンに双子座の黄金聖闘士を譲るというのですね。…分かりました。それもいいかもしれませんね。
それで、あなたはこれからどうするのですか?」
ムウの静かな声。
 
「…まだはっきりとは決めていない。しばらくゆっくりして、今後の身の振りかたを考えてみるつもりだ」
 
「そうですか…」
 
 
そのまま二人は黙ったままだった。
俺は自分の間の悪さを呪ったが、今更姿を現せるような雰囲気ではなかった。
そもそもいくら俺が気配を消しているとはいえ、あの二人が俺の存在に気付かないということそれ自体、彼らが他人のことなど考えている状況に全くないということだ。
なんというバカな状態に陥ってしまったのか――
 
まるで追い詰められて罠にかかった獲物のようだ。
俺に出来るのはとにかく奴らが俺の存在に気付かないまま、一刻も早くこの場を立ち去ることを願うことだけだった。
 
 
「…別に構わないですよ。どこかへ行ってしまっても」
 
その時しばらく黙ったままだったムウがぽつりと言った。
その声の調子に、俺は胸の奥を掴まれたようにハッとする。
 
「――だって、帰って来るでしょう?だから、私は平気です。思うさま、気が済むまでどこへなりと行ってきてください」
 
ムウの声が揺らぐ。
 
「私は、待っていますから」
 
 
草や枝の折れる微かな音がして空気が動いた。
俺は神殿を隔てて彼らに背を向けたまま、気配を殺したまま目を閉じる。
彼らが互いの腕の中にいるであろう光景が閉じた瞼の奥に見えた。
 
「…私のことは忘れろ」
 
「サガ、あなたは結局最後まで、誰も――私のことも本当の意味では受け入れようとしなかった。そして今また聖域から、私から、離れていこうとするのですね」
「…」
「――でも、いいんです。どこかに行ってしまっても」
ムウの声が震える。
 
「…だって、また会えるのですから。…そうでしょう?」
 
俺の閉じた瞼の裏側に眩しい木漏れ日が踊り、ムウのすべらかな頬を光る涙が滑り落ちていくのが見えるような気がした。
 
「――待っています。だから安心して好きなところへ行ってください」
 
震えるムウの言葉には答えず、身を離し歩き出す気配。
重たい足の下で草がよじれ土が崩れる音。
 
「サガ!あなたが帰って来るのを待っていますから。
待ちきれなくなったら、私はあなたを探しに行きますから――!」
 
 
 
しかし遠ざかっていく重たい足音の向こうからは、もうサガの声は聞こえなかった。
 
 
 
 
 
***
 
どのくらい長くそこに立っていただろう。
 
長い長い時間、そこにムウが独りでいた。
あたりを覆い尽くす深い悲しみの気配。
輝かしい5月の森は息が詰まるような絶望に満ちていた。
 
 
全身にしみわたるようなムウの痛みを感じながら、だが俺はどうすることもできなかった。
長い時間の果てにムウがひっそりと立ち去った後も、俺はただ眼を固く閉じたまま、廃墟の壁に背中を預けてそこに立ちすくんでいた。
 
 
 (続く)
 

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