夏休みなので、大昔のUSBからでてきた最初期の妄想を晒してみようと思います。アレな長編妄想過ぎてとても全文アップできるような代物ではないのであらすじ&抜粋で。
大昔に書いた双子羊定番メロドラマ。ほぼパラレルな設定で、スターヒルがもっと遅く起きたことに(ムウ様14,5歳くらい)なってます。
*更新もないのに拍手ぱちぱちありがとうございました。夏休モードですが生きております。リクボタン押してくださった方、ありがとうございます。不要の方、残暑見舞いメッセありがたく拝読いたしました。頑張りますv
***
次期教皇と目されていた優秀な少年サガ。そんなサガには子供のころからの婚約者ムウがいた。牡羊座の教皇が聖域の次代を担うであろうサガのために自分の愛弟子を直々に許婚と定めたのだ。
だが、幸いなことにサガとムウは気があった。年の差は8歳と離れていたが、ふたりは性来の気質が似ているようだった。聖域では二人が仲よさそうに共にいる姿がよく見かけられた。
そんな二人の前にふらりと現れるもう一人の存在があった。サガの双子の弟カノン。他人にはその存在を秘されていたカノンだが、サガの婚約者であるムウには正体が明かされていた。
長男気質で優しいサガと違う自由でいい加減な明るいカノン。時にはサガのふりをして聖域に出入りするカノンに振り回されながらも、3人は周囲には秘密の思い出を重ねながらいくつもの季節を共に過ごす。
やがて少しずつ変わっていく関係。幼かったムウも成長し、サガは教皇候補としての自覚が一層高まるとともに、より真剣に修行や任務に取り組むようになる。一方カノンは将来の目標が見えないまま、ずるずると自堕落な悪の道に迷いこんでいった。そんなカノンを心配しサガとムウは何かと世話を焼くが、カノンは二人の小言になど全く耳を貸さない。
そしてムウが成人の儀を迎え正式に一人前の成人黄金聖闘士・修復師となる日が近づいてきた。長く待ち続けていたサガは、その機会にムウとの婚姻を正式なものにしようとする。
だが肝心なムウは何故かどこか浮かない顔だ。理由を問うてもはっきりした答えを言わないまま結婚披露を待って欲しいというムウ。
追い打ちをかけるように、サガは教皇から内々に「次期教皇はアイオロス」との内示を受ける。全てが順調に行っていた筈だったサガの人生のバランスが急におかしくなり始める。大きなショックを受けたサガはムウのもとを訪れた。
教皇に言われたことは伏せたまま、一刻も早く結婚しようと迫るサガ。だがムウは「はい」と言おうとしない。絶望のあまりサガは強引に思いを遂げようとする。激しく抵抗するムウだったが、やがて真剣なサガの想いに抵抗をやめ身をまかせる。だがムウの眼から涙が零れおちるのに気づいたサガは手をとめる。
「何故だ?私はお前のことを心から愛している。お前もよく知っているように、ずっと長年大切に思ってきた。お前は私が嫌なのか?」
「私もサガが好きです。あなたはいつも優しくて、あなたと私は一度だって喧嘩などしたこともなくて、尊敬するあなたと結婚できるなんて私はなんと幸運なのかと――」
そう言って顔を見せないままサガに抱きついて涙を流すムウ。その震える体を腕の中に抱きながら、サガはようやく気付いた。
そうか、ムウがずっと想っていたのは私ではなくて――
「そうか…私ではなかったのだな。だからあんなにも結婚を渋って――」
「違います!私は幼いころから変わらずあなたを好きでした。私はいつも『兄の婚約者』で、私はいつもサガのものでした。初めてカノンに会ったときから私はサガの婚約者でしたし、私は大きくなったらあなたと結婚するのだとずっと思ってきました」
ムウは、サガが好きな気持ちに偽りはない、改めて自分を抱いて欲しいと言う。睫毛に涙をのせた眼を閉じてサガの手に身をゆだねるムウ。
だがサガは手の中のムウの身体がいつまでも固くこわばったままなのに気付く。
「ムウ、お前は正直だな。確かにお前は嘘は言っていない。私のことを好いてくれているというのは本当だろう。私のために、身をまかせても構わないと思う程に。だが正直なお前は嘘がつけない。こうしてお前の身体を感じているとよくわかる。お前が愛しているのは私ではない――」「サガ!」
サガはムウから離れると、そのまま一言も口をきかずに部屋を出て行った。
***
(回想)
「俺なんかに関わらない方がいいぞ。あらゆる悪事を重ねてきたからな」
「また変な見栄を張らないで下さい」
カノンの言葉にムウはクスッと笑う。
「あなたの悪事の噂なんて全然聞こえてこないですよ?
カノンはぷいと横を向く。
手を後ろで組んだムウがカノンの正面に回り込む。
「あなたとサガは同じ顔なのですから、もしあなたが言うように悪事ばかりというのなら、あなただと思われたサガの方にクレームの一つも入るはずです。でもサガの評判は相変わらず光り輝いています。ということは、あなたの悪事がなんであれ、人の口に登るまでのこともない、大したものではないということです」
理路整然とカノンの悪の宣言を一蹴するムウに、カノンは更にくるりと背を向け口をとがらせる。
「そんなに近づくな。噂があろうとなかろうと、とにかく俺は邪悪そのものなんだからな。そもそもお前は年下のくせに口うるさいんだよ。目上に少しは敬意を払え」
「敬意を払っているからこそ、尊敬するカノンがまっとうに生きている姿を見たいんですよ」クスクス笑いながら再び回り込んで、ぐっと近づきカノンの顔を覗き込むムウ。
「カノン、あなたはどうしてそんな風に悪いふりをするんですか?全然邪悪なんかじゃないのに」
「――近づくなって言ってるだろう!キスするぞ!」
「!」
途端にムウの動きがぴたっと止まり、顔が真っ赤になった。
「え?」
真っ赤になったムウに、カノンの顔にもかすかに朱がのぼる。
「はぁ?何赤くなってるんだよ!冗談に決まってるだろう!お前はサガの婚約者だろう。俺はジェミニにしろ何にしろ、兄のものを盗む趣味はない」
「……」
顔を赤く染めたままのムウの翡翠色の瞳がかすかに見開かれる。
「――サガとお前はお似合いだよ。お前たちはよく似ている。二人は聖域の王道を歩め。俺はそういうのは趣味に合わないから遠慮しておく」
そういうとカノンはにやっと笑って、ムウの片頬をむにっと抓んで引っ張った。
「俺はせいぜい悪事に励むさ」
(回想終)
***
ほどなくカノンが行方不明となり、サガは偽教皇となった。
そして、ジャミールに去ったムウが生きているサガに会うことは二度となかった。
(終)
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 28 | 29 | |
30 | 31 |
その他☆矢派生作品(Ω、LC等々)の感想も。
御用の方は拍手またはこちらまでどうぞ↓
gotoplanisphere☆yahoo.co.jp ☆→@