久々のブログなので気軽に楽しいネタを…と思っていたのですが、まずは一夏発酵していたリアムウを書かせていただいてしまいます。
完全に自分だけが楽しい誰得に堕しているのですが、これを一度吐き出さないと脳内キャッシュをクリアにできそうになくて。(^^;)
もともと獅子誕のための小ネタだった筈なのですが、書ける環境に無かったため脳内でぐるぐるしている内に、SSに収まらなくなってしまいました。数回の予定です。
ということで、ほぼ会話&内言心理描写だけの典型的な妄想話ですが、もしよろしかったら折りたたみからどうぞ。
聖戦復活後ごく初期のリアムウ。一応アイオリア誕。
リアムウはこちらです
1ダース : 世界で一番遠いところ The place most far-off in the world
蠢く無数の敵兵の群れの奥に、敵将がいるのが見えた。奴が腕を一振りすると、空間がどこかとつながるのか、そこに次々と雑兵があらわれる。いかに雑兵と言えど、無限にあらわれる敵兵は厄介だ。状況が長引けば徐々に体力が削がれるのはもちろんのこと、ここで事実上足止めを食っている内に、周囲の一般人にいつ敵の手が及ぶやもしれない。
俺はそんな状況に甘んじるつもりはさらさらなかった。
ましてや、俺と共闘しているのは、あのアリエスのムウなのだ――!
俺は無言で小宇宙を燃え上がらせる。
俺と背中あわせで敵に対しているムウも、俺の気配に気づいたようだ。
最大限の小宇宙と共に、俺は周りを囲む敵の群れの中に一息に飛び込んだ。ただ、敵将を目がけて。
「ライトニング・ボルト!!!」
目の前が目映い黄金色にそまる。
光一閃、白い輝きは敵兵どもをまき上げ、一直線に相手の大将に届く。確実な手ごたえに大きく吹き飛ぶ敵将―!
だが、俺の周囲にはまだ数多の敵兵力がある。
全ての力を、眼前の敵将への一撃に使い果たした俺には、そいつらに対するための咄嗟の余力はない!
だが、次の瞬間。
俺が憂うまでもなく、間髪いれずムウの必殺技が炸裂した。
「スターダスト・レボリューション!!!」
俺に群がる敵兵が一瞬のうちに宙に舞い上がり、次々と一人残らず完膚なきまでに地面に叩きつけられる。
数分後。俺たちの前には、ムウのSDRで倒された数多の雑兵立ちと、俺のライトニングボルトが撃ち抜いた敵将が地面に崩れ落ちていた。
キラキラと小宇宙の名残が辺りの空気を振動させ、眼にも眩い金色の残像のフレークが舞う残像を見せる空間で、俺はムウに感謝の言葉を告げる。
「よし、完全に撃滅したな!状況終了だ。ムウ、援護ありがとう」
しかしムウは気難しげな表情を浮かべたまま、俺にいらだたしげな視線を向けた。
「…ムウ?」
ムウはそのまま一言も発することなく、ふいっと背を向け歩きだす。眉間に深い皺を刻んだままで。
俺は呆然と、去っていくムウの後ろ姿を見送る。
俺が何をしたというのか?
俺たちは共闘して敵にあたり、俺はボスを渾身の技で倒し、ムウは雲霞のごとく湧出ていた雑兵を一掃してくれた。そして無事敵の掃討作戦は成功し、俺はムウに感謝の言葉を述べた――ということだよな?
それなのに返事の一言もないというのは、一体なぜなのか?
しかも、ムウは非常に不機嫌そうに見える。
俺ははずれたヘッドパーツを拾い上げ、無言で遠ざかるムウの後ろ姿を追った…
***
「…以上、今回の勅の報告とさせていただきます」
淡々とそう言ったムウは手にした書類フォルダを閉じ、一礼した。横に控えていた俺もあわてて頭を下げる。
教皇の椅子にどっしり腰をかけて俺たちの報告を聞いていたアイオロスは、そんな俺たちの様子を見てさらりと言う。
「お前達、また喧嘩したのか?」
間髪いれずムウが即答する。
「喧嘩などしていません。喧嘩と言うのは、相手と自分が同じレベルの時にはじめて起こりうることですから」
そんなことをしれっというムウの横顔を俺は睨みつけた。
「おい!」
慌てて小さく目くばせするサガを無視して、アイオロスはどこか面白そうに続けた。
「それで今回の原因はなんだ?」
「「…」」
無言のまま眼を伏せるムウの隣で、俺も顔を背けて天井の片隅を眺める。
喧嘩をしているつもりはないが、ムウの不機嫌の理由となると俺にも意味不明だ。
「…まあ黄金聖闘士として共に任務に当たる時は上手く行っているようだから、私事にはたちいらないが」
どちらも口を開く気がなさそうなのを見てとったサガがとりなすように言ったが、アイオロスはにっこり笑みを浮かべた。
「要するに喧嘩するほど仲がよい、ということだろう?」
兄の言葉に俺はきっと顔をあげる。しかし俺の横のムウの方がもっと早かった。
「アイオロス!いくらあなたでもその言葉は取り消していただきたい」
「ムウ!お前な!」
自分が言おうと思ったことを先に言われ、しかもムウの言葉に内心深く傷ついた俺は、勢いこんだがすぐに言葉に詰まる。そんな俺を見てムウはふっと笑みを浮かべた。
「アイオリア、私達は滅多に意見が一致しないのに、今日は珍しく同意見のようですね」
ぐぬぬとなったままの俺はムウをにらみつける。
「アイオロスには私達の間柄について、後でよく説明しておいて下さいね。――アイオロス教皇、サガ、私はこれで失礼させていただきます」
そういうとムウはくるっと背を向けて、足音も高く歩み去った。アイオロスとサガは物いいたげな視線を交わす。
「――まあ、任務に支障が無いよう。アイオリア、今日はご苦労だった」
「…失礼します」
サガのとりなすような言葉に、俺は深く頭を下げると教皇の間を辞去した。
(続く)
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