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日々の萌語りとSS
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田XX袋の『蒲/団』といえば教科書の近代文学史に必ず登場する自然主義文学の名作です。

といいながら、実は今読むといろいろ突っ込みどころが満載で、発表された当時とはまた別な意味でインパクトのある作品だなあと思います。先日羊受けさんたちとお話していた時もちょっと話題になったのですが、なんだかサガムウ風味があるような。


以下、『蒲/団』のネタばれ含むこじつけサガムウ。女学生ムウちゃんパラレル女体化妄想を含むので畳んでおきます。『蒲/団』とサガムウをごっちゃにした認知の歪みハイブリッド感想なので、なんだこれ??!になる可能性大です。読まれる時は要注意。申し訳ありません。


*『蒲/団』はふつうに名作です。読みやすく、考察も沢山なされています。青/空/文庫にも掲載されていますので、ぜひご一読をv












***


『蒲/団』の主人公の小説家先生のあのこじらせた感じと、勝手に理想を設定してひとりで葛藤してるところがなんだかサガっぽいな~と思いました。
現実はそこに厳然とあるのに、恋してしまった女学生を偶像化・神聖視して理想を投影。自分でつくりだした偶像に縛られて自縄自縛。

 一方しれっと堕落しちゃうあたりが女学生ムウちゃんの真骨頂発揮で、サガが堕落女学生を破門しつつも、彼女が去った部屋で彼女を求めてくんくんするラストは涙なしには読めません。


”自縄自縛”って、サガらしい言葉だと思うのです。それは志が高いゆえ努力家ゆえのことなのですが、自分で自分が許せないんですよね。だから、そのスタンダードがリアルな現実に即しているかどうかではなく、あくまで自分の理想にこだわる。天賦の才に加えてそうやって高い目標を自分で設定してきたからこそ、神のようとまで言われた優れた存在になれたわけですが、結局はそれは自分を縛る枷になり、理想と乖離するありのままの現実をみることができなくなる。(そこからのスターヒル)

『蒲団』でも、成功した作家である主人公は美しい女学生に理想の女学生像を投影し、自分の欲望をその理想にふさわしくないものとして抑圧し、女学生を誘惑する男性を女学生本人の意思を無視して否定しています。

でも、女学生側はそんな小説家の一方的な偶像視など気にせず、若い情熱のままに恋人との関係をすすめていくんですよね。
それを主人公は「堕落女学生」と呼ぶ。堕落…いいですね…(*≧ω≦*)

堕落女学生であるところのムウちゃんは、自分に勝手に投影された理想ではなく、自分にとっての現実をちゃんと見ている。((たとえ情熱と肉体に流された無鉄砲なものだったとしても)
それは肉欲を持つ恋人との具体的な逢瀬であり、文学の道を求道者として邁進するというような抽象的で高邁な理想ではない。このあたり、現実に聖衣を直すーその工程には破壊や破棄も含むームウ様の修復者としての姿勢を感じました。

きっとムウ様は、修復者としての理想はあっても、修復者であるからこその現実との折り合いのつけ方や実際のそのものをありのままに見ようとする力があるんだと思うんですよね。その力は時には生々しい堕落も含むもので。
それは机上に生きる小説家の主人公や聖域のトップ候補として神のように生きる少年サガにはなかったドライな現実主義であり、辺境ジャミール育ちのたくましさでもあり。


ということで、成功した小説家であるサガは、堕落女学生ムウ様が去った家で、胸に抱えた大きな虚空を埋めようとするようにムウちゃんを求めて蒲団に顔を押し付けます。
手の中からとうに飛び立ってしまった美しい小鳥、自分が思っていたような清らかな存在ではなく生々しい肉体をもった存在への悲しくも絶望に終わった”恋”の残り香を求めるように――。(くんかくんか)


この小説で一番切ないところは、女学生側も主人公への想いがないわけではないところだと思います。尊敬と仄かな恋心がある。でも主人公は自分の理想からそれをみすみす手放してしまうのですね。

でも妻子ある 主人公にとってはそれはやむをえないことであり、不倫=人の道にもとる行為など、この”清らかな”女学生と女学生に慕われ尊敬される自分が犯してはならない罪だったので、二人にはやはり未来はなかったのでしょうが。


ということで、理想家肌で処女信仰の小説家の言動にサガの香りを感じると共に、小説家に仄かな恋心を感じつつも同世代の彼氏と情熱に突き動かされて”堕落”しちゃう女学生にムウちゃんの現実主義と優雅に見えても実は!なアリエス風味を感じました。



要は、堕落女学生ムウちゃんはたまらないですね、というどうでもいい妄想です。
本当にすみません。(土下座)





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