忍者ブログ
日々の萌語りとSS
[726]  [370]  [725]  [724]  [723]  [722]  [721]  [720]  [718]  [717]  [657
コニカミノルタギャラリーの天体写真の展覧会に行ってきました。
ヒーリング系ピアノが静かに流れる中、照明を落としたギャラリーでぼんやり浮かび上がる天体写真を観ていると不思議な浮遊感。

不死鳥の形のオリオン大星雲(M42)や渦巻くネビュラのアンドロメダ大星雲を見ながら、「兄さん!」「瞬」と脳内でアテレコ。
多くの作品が南半球で撮られたため星座が逆さまになっているのですが、頭から地平線に落ちて行くオリオン座に「エデンの車田落ち(ドシャッ)」とアニメ絵を重ねてみたり。
夜空に輝く幻想的なオーロラに「…ロラ・エクスキューション!」と小さく呟いてみたり。
(ムーンボウの写真もありました)

半分ぐらいは☆矢の展覧会を観たような充実したひと時でした。

高砂淳二 写真展 「ASTRA」
ttp://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2014june/astra/index.html
(下の写真はイメージ映像です。展示されていた写真はすごく綺麗)




さて、折り畳みに、妄想が膨らみ過ぎて収拾がつかなくなったLOS黒サガムウの続きを置かせていただきました。長くなったので2回に分けます。どこを目指しているのか、なんだかもうよく分からなくなってきました。別名・自爆黒サガ。(早くタイトル考えry)



*拍手どうもありがとうございました。連打の方嬉しいです。サガムウですね!
メッセ下さった方、ありがとうございます。お返事は改めてゆっくりさせて下さいませ。



***


「ジェミニの迷宮」(1)



分厚い木の扉が大きな音をたてて開いた。
訪れる人もないこのジャミールの孤独な館を、そんな風にノックもなしに入りこむのは一人しか考えられない。
ムウは振り向き、そこに思った通りサガの姿があるのを認めた。

「……何の用ですか?」
挨拶の言葉もなく当然のように上着を脱ぐサガに、ムウは冷たい声で言う。
「私は私がしたいようにする。用事があろうとなかろうと、お前には関係ない」
「理由もなしに来られては迷惑です。あなたの姿を見ることは、私にとって不快なだけなのですから」
「お前は本当に礼儀を知らない奴だな」
そういうとサガはムウの傍につかつかと近寄り、ムウを見下ろすように威圧的に立った。
「自分が誰と話しているかをよく考えろ。お前の支配者が誰なのかを」

サガはジャミールの館を定期的に訪ねて来る。目的がなんであるにせよ、その度ムウに現在の聖域を統べる者、すなわち聖闘士たるムウの上に立つ者が誰であるかを殊更に知らしめようとする態度に出る。その強引で傲岸なやり方にムウは怒りと反発を覚えていた。

その時、サガは机の上の封を切ったギリシャの瓶詰めと解きかけのパズルに眼をとめた。
「生意気をいうくせにちゃんと活用しているようだな。反抗的な態度をとっていても己の欲求には逆らえないとみえる」
「誰の汚れた手から贈られようと、ものはものであり、その有用性は変わりません。私は感情に囚われてものを無駄にするような非合理的なことはしません」
「なるほど、誰の手がふれようと、お前はお前であり、その”有用性”は変わらないということか」
揶揄するような言葉を口にしながら、サガは手を伸ばして軽くムウの髪に触れた。
ムウは素早く身を引いて、サガを睨みあげる。

「――用事がないのでしたら、私の方が出て行きます」
「出て行く?こんな鄙びた田舎で一体どこへ行くというのか?」
「どこであろうと、ここであなたと一緒にいるよりはましです」
「なるほど、よかろう。では、お前の好きなところへ行くといい」
そう言うとサガはひとつしかない椅子にどさっと腰かけ、これみよがしに足を組んだ。
「どこへなりと、行くがいい」

ムウはきゅっと唇を固く結ぶと、サガにくるりと背を向ける。そのまますたすたと部屋を横切って、ジャミールの館の正面玄関の分厚い扉を勢いよく開けた。
「!???」
扉を開いたその先は、だが、見慣れたジャミールの高い空と岩がちの山地ではなかった。

薄闇に仄白く浮かび上がるのは、列柱がたちならぶギリシャ神殿の回廊だった。一体奥はどこまで続いているのか、まっすぐ伸びた通路の両側に並んだ列柱は遠い闇の奥に消えている。――これは、ジェミニの迷宮だ。

扉の前でためらうムウに、サガはからかうような声をかける。
「用事があるのであろう?どこへなりと行ってはどうだ?ただし、お前が思っているような場所に辿りつけるとは限らないがな」
そう言うとサガはクククと押さえた笑い声をもらした。

――サガはジャミールの館の入り口双児宮へとつなげたのだ、
その位の事はサガならなんなくやってのけるだろう。こうやってサガは私を自分の手の内に閉じ込めたつもりなのだ……!
ムウは拳をぎゅっと握ると笑い続けるサガの方を振り向きもせず、扉の向こうに続く迷宮へと決然と足を踏み入れた。





***


名高いジェミニの迷宮は、その名の通り足を踏み入れたものをどこまでも惑わせ翻弄した。
これはある種の幻覚であり、サガの技を破りさえすれば出られる筈だとわかっている。だが主観的には行けども行けども無限の回廊が続くだけで、出口は勿論のこと突破口となるような技の綻びも全く見えなかった。
ぼんやりとした薄暗闇の中、自分が走る靴音だけがこだまし、両側の列柱が後ろに流れて行く。目を凝らしても行く先は闇の中に溶け、何も見えない。

もう何個目か分からない曲がり角に来たムウは、立ちどまるといらだたしげに左右を見た。今来た道も、これから進む道も、どれも似たようにただ白い柱が並ぶだけで区別がつかない。うっかりすると今来た道すらもどれだか分からなくなってしまいそうだ。

「?」
そのとき、はるか遠くに小さく細い光のようなものが瞬いたように感じた。いかにも出口はこちらだと言わんばかりのあからさまな誘惑に、ムウは罠の気配を感じて本能的に足をとめる。
薄闇の中じっと目を凝らすと、やはりそれは光のようだった。
(――だが、どうせどの道を行っても同じだろう。ここはジェミニの迷宮なのだから)
出口ではないと分ってはいたが、いずれにせよこのまま走り続けていても到底ここから出られるとは思えない。
そう思いなおしたムウは、靴音を響かせながらゆっくりと遠くの光に向かって歩き出す。
近づいて行くうちに光は細い一筋の糸となり、やがてそれはそこにある大きな扉からもれている灯りだという事が分かった。

やはり出口などではなかった--
だがいつまでもこんなことをしていても埒があかない。どうせサガが用意している場所にしか出られないのだから。
ムウはひとつ深呼吸をすると、闇に溶け込むような黒い扉をぎいっと大きな音をたてて押し開いた。


暗闇に慣れた眼が一瞬くらむ。幾度か瞬きをしたムウの瞳に映ったその場所は、もう双児宮の中ではなかった。



(続く)

拍手[141回]

PR
web拍手
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
バナー。リンクの際はお持ち帰りでお願い致します。
プロフィール
HN:
たると
HP:
性別:
女性
自己紹介:
中羊受および双子・獅子・シベリア師弟などについての妄想が渦巻くコキュートスです。
その他☆矢派生作品(Ω、LC等々)の感想も。
御用の方は拍手またはこちらまでどうぞ↓
gotoplanisphere☆yahoo.co.jp ☆→@

忍者ブログ [PR]